エムス電報事件

エムス電報事件     フランス語への翻訳     Havas通信社によるフランス語への翻訳版では「Adjutant」という単語を翻訳せずそのままにしていた。

この「Adjutant」という単語は、ドイツ語では階級の高い副官を指すのだが、フランス語では単なる下士官(adjudant)を指すという違いがある。このため、「Adjutant」を通じて大使へメッセージを伝達させたという文面が、プロイセン王がフランス大使を侮辱するためにわざと士官ではなく下士官にメッセージを伝達させたと誤解されることとなった。

この翻訳版が、翌日にほとんどの新聞に掲載されたが、それがたまたま7月14日(パリ祭)にも当たっていた。この記事によって、フランス人はプロイセン王がフランス大使を侮辱したと信じ、フランス大使が自ら報告する前に、フランスの世論の方向性が定まってしまった。