カーバ神殿の黒石

ヘレニズム期の東地中海世界には天界から神々が落ちてきたという伝説を縁起とする神殿が少なくとも6例存在し、これら神殿には βαίτυλος(隕石)がまつられ、人々の崇拝を受けていた。こうした信仰は真昼に燃えさかる十字架を空に見たことをきっかけにキリスト教に転向したという伝説を持つコンスタンティヌス大帝期に途絶えてしまうといえば、黒石はやはり隕石だろう。