偽書の可能性を疑われる歴史的文書は歴史書に限らず、様々な史料も俎上に載せられる。ヨーロッパでの偽作事件ではピエール・ルイスがフェニキアで発掘し翻訳したと偽った『ビリティスの歌』、フリードリヒ・ヴァーゲンフェルトにより偽作された『フェニキア史』などが有名である。
現代の例では20世紀末葉に現れた『万歳三唱令』などがある。前者の場合は潤色の一環と捉えられるが、後者は作者らの告白により「出席者がたまたま酔いに任せてやったのがはしり」であったことが判明した。このように偽史料が作成される意図は一括できるものではないが、しばしば世の中を騒がせることになるのは、政治的意図を動機に含む偽書である。