1934年5月

アメリカ陸軍の航空部門であるアメリカ陸軍航空隊は、第二次世界大戦が始まる5年前の1934年5月に超長距離大型爆撃機開発計画「プロジェクトA」を発足させた。これは1トンの爆弾を積んで8,000km以上を飛ぶことができる爆撃機を作る計画で、アメリカ陸軍航空軍司令官ヘンリー・ハップ・アーノルド将軍を中心とし長距離渡洋爆撃を想定していた。B-29はこの構想の中から生まれた機体で、1938年に完成した試作機(ボーイングXB-15)から得られた種々のデータや、新しい航空力学のデータをもとに設計製作された。そして1939年9月1日のナチス・ドイツ軍によるポーランド侵攻の日、アメリカのキルナー委員会は、陸軍は今後5年間で中型・若しくは大型の戦略爆撃機の開発を最優先とすべきとの勧告をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

機体前部と後部を繋ぐ交通パイプを這って移動するB-29クルー。内張りや、機体の前後を結ぶ配線も写っている